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Q&A

「知っているようで、実はよく知らない……。」「恥ずかしくて今さら聞けない……。」そんなことありませんか? 株主優待を楽しむうえで知っておきたい基礎知識をご紹介します。

上場企業の株式を購入すれば、必ず株主優待がもらえるのですか?

すべての上場企業が株主優待を行っているわけではありません!
優待実施銘柄は
1,523件(2019年8月末現在。野村IR調べ)となっています。

・株主優待は、議決権や配当請求権のような会社法上の株主の権利などとは違って、実施するのか、しないのかを会社が任意に決めることができるものです。実施する会社は年々増えてきており、1,500件を超えていますが、残りの約2,600社の上場企業は株主優待を実施していません。株主優待に興味を持った場合には、まず株主優待を実施している会社のなのか、実施していない会社なのかを調べてみてください。

株主優待実施銘柄を保有していれば、株主優待はもらえますか?

株主優待を受け取るための3つの条件を満たしていなければ株主優待は送られてきません!

 ・1つ目の条件は、「株主になっている」ことです。皆さんがその会社の株主だということを会社が認識できないと優待はもらえません。まずはここがポイントです。手続きに関してはお近くの証券会社でお尋ねください。 

・2つ目の条件は、優待をもらうことができる株主を確定する「割当基準日」までに、株主となっていることです。ここで注意が必要なのは、割当基準日までに株式を購入するだけではなく、株主になるための手続きを済ませておかないといけない点です。

・そして最後は、優待を受け取るのに必要な「株式数」を保有していることです。

割当基準日が3月末日の銘柄を保有しています。株主優待はいつ頃、届きますか?

優待が届く時期は、割当基準日の約3カ月後が多いようです。

・野村IRが株主優待実施企業に対して実施したアンケートによると、優待品を送る時期は、6月をピークとした5~7月と11月、12月と回答する企業が多くなっています。これは、会社の決算期と関係があります。株主を確定させる割当基準日は、株主名簿を締め切る関係などから決算期末日や中間決算期末日に設定されていることがほとんどです。日本では3月、2月決算の会社が多いため、その時期に株主を確定させ、優待品手配から発送までに約3カ月かかり、結果的に5~7月に発送することになるようです。11月、12月が多いのは、それぞれ9月、8月に第2四半期を迎えるためです。

最低投資単位(1単元)の保有でも、株主優待を受け取ることができますか?

もらえる場合ともらえない場合があります。

・証券取引所における取引や議決権を行使することができる一定の株式数のことを単元と呼びます。株主優待を受け取るために必要な株式数が必ずしも1単元とは限りません。1単元未満でももらえる企業もありますが、最近増えているのは1単元持っていてももらえないケースです。

ミニ株や「るいとう」でも株主優待をもらえるのでしょうか?

基本的にミニ株ではもらえません!
るいとうは株式数と名義書換手続き次第です!

・ミニ株の場合には単元株未満なので、多くの場合にはもらえません。ただし、取引をしている証券会社が代表してその株式を買っていますから、詳しくは証券会社に問い合わせてください。なかには受け取った優待品を換金したりして配分する証券会社もあるようです。またるいとう(累積投資)では、優待に必要な株式数に到達して、名義書換などの手続きが必要な手続きをすれば株主優待を受け取ることができます。

優待を実施していない企業でも、特定の年にだけ優待を実施することもあると聞きましたが……。

記念優待など、その年だけ優待を実施する企業もあります。

・創業50周年や上場1周年などを迎える区切りの年だけ、株主優待を実施する会社もあります。また、何かの記念ではなく、経済環境や事業環境などを鑑みて、その年だけ株主優待を実施する企業等もありますので、興味のある方は、リリースを細かくチェックしてみてください。思わぬ会社が予想外に優待を実施することもあるかもしれません。

社会貢献団体への寄付や株主限定の優待品があると聞きましたが?

社会貢献できる株主優待実施企業は115社。
株主にならないと受け取れないオリジナル優待もあります!

・企業の社会的責任(CSR)などに関心が高まっている昨今、社会貢献団体などへの寄付を株主優待に選択肢のひとつとして組み入れる会社もあります。野村IR調べでは、2019年8月末現在で163社。また、株主にならないと手に入れることができないようなオリジナルの品物やサービスを提供する企業もあり、株主としてのプレミアム感を得ることができる優待として人気を集めているようです。

一定期間以上の保有で株主優待品がグレードアップする場合があると聞きましたが…。

長期保有すると優遇される場合があります!
1年以上連続して保有すると金額が1,000円上乗せされたりするケースも。

・最近注目を集めているのが、ある一定期間株式を連続して保有していると、もらえる優待品の金額や内容がグレードアップする長期保有優遇タイプの株主優待です。野村IR調べによると、2019年8月末時点で367社に達しています。株式投資は中長期で行いたいという方にはうってつけともいえるでしょう。

食事会やイベントなど参加型株主優待には必ず参加できるのですか?

抽選の場合もあります。

・株主限定の食事会やセールなどに参加できるタイプの株主優待があります。ただし、株主数が多い場合や希望者が多い場合などは抽選となることもあるようなのでお気をつけください。こうしたタイプの優待は、レストランなどを展開する外食チェーンが自社のレストランへ招待したり、アパレルメーカーが自社取り扱い製品を対象にした株主限定セールを行う等、自社で手がけるサービスや製品をより実感してもらうための取り組みの1つとして行われているようです。

優待品が変更になったり、制度自体がなくなってしまうことはあるんですか?

優待が廃止されたり、品物や金額が変更になる場合もあります!

・入門編でも説明したとおり、株主優待を実施する、しないは、会社が任意で決められる事項です。そのため、現在実施している株主優待の内容を変更したり、優待そのものを廃止することなども、状況に応じて決定されます。野村IR調べでは2018年4月1日~2019年3月末までに優待を廃止した企業は、36社となっています。廃止の主な理由としては、経営統合による上場廃止、株主への公平な利益還元や業績状況を鑑みてといったものなどがあげられます。

複数の証券会社で同じ銘柄を保有してい場合、優待品も複数送られてくるのですか?

名義人が同じであれば、株主優待は1つしかおくられてきません。

・証券会社が違っていても、名義人が同一であれば、株主優待も1つしか権利が発生しません。ただし、それぞれの口座にある株式数が同一名義として合算されますので、保有株式数に応じて受け取る金額が変わるケースはあります。例えば、100株以上保有していると1,000円の自社製品が、500株以上保有していると3,000円の自社製品がもらえる優待実施企業の株式をA証券会社に200株、B証券会社に300株保有しているとすると、合計500株とみなされて、3,000円分の自社製品が送られてきます。

優待実施会社が経営統合した場合などはどうなりますか?

優待制度がなくなるケース、一本化されるケース、両社から選べたり、両方もらえるケースなどさまざまです。

・経営統合前に優待を実施していたかどうか、経営統合なのか子会社化なのかのスタイルにもよるようです。例えば、両者ともに優待を実施していた三越と伊勢丹が経営統合して発足した三越伊勢丹ホールディングス[3099]では、会社発足の前に、伊勢丹と三越各店舗で使える買い物優待券など、両社で共通利用できる優待制度を発表しました。また、上場子会社であったラヴィスとヴァリック(共に優待実施)を2008年4月に完全子会社化したAOKIホールディングス[8014]は、2008年9月に優待変更のお知らせをリリース。それまで実施していた優待に加えて、子会社2社で実施していた優待の一部が利用できるようになりました。このように、優待の内容が充実するケースもありますが、経営統合や子会社化を契機に優待を廃止、あるいは縮小するケースも見受けられます。最近は、企業に対して電話で株主優待に関する問い合わせをする投資家も増えているようです。気になる場合には必ず企業に問い合わせてみてください。