“優待女子”小森美紀さんの投資ノウハウに迫るインタビュー後編です。後編では、投資の際に参考にする本や小森さん流・優待の使い方を伺いました。
小森美紀(こもりみき)
個人投資家。東京都在住。父親の影響で高校生のころから株式投資を始め、現在は約100銘柄を保有している。
ノーポジション・ノーライフ(笑)
――投資の際に参考にする本、格言などはありますか?
今の投資スタイルに落ち着くまでは『会社四季報』をはじめとして、いろいろと読みましたが、ここ10年くらいは優待株を中心としているため、『知って得する株主優待』を参考にしています。社長の顔写真や優待品もカラーで掲載されていて使いやすい。それに、この本に掲載されていれば、優待廃止や縮小がしばらくないだろう、との目安にもなります。
それから、渡部清二さんの本は共感する部分が多く、愛読しています。『会社四季報』の見方や、オーナー企業に注目するテンバガーの探し方など、参考になることが多いですね。それだけでなく、アパレル企業であれば実際にお店に赴いて買い物をするなど、アクティブなところも魅力的です。短期での大儲けを指南するような本が多いなか、堅実で基本的な投資法が書かれていて、長期保有志向の方にとっては非常に参考になると思います。
格言などで、株価が過熱している時に思い出すのは、立花証券の石井久さんの「桐一葉・落ちて天下の秋を知る」。1953年のスターリン暴落を予見したことで有名な方の言葉ですが、相場師としてかっこいいと思います。私もちょっとした変化のサインも見逃さないようにしたいと思っています。
また、「頭と尻尾はくれてやれ」というのも常に心に銘じています。株価の上がり下がりは予想できないから、美味しいところだけいただきます、と。それから「買いは家まで売りは命まで」。信用の買いは損失が限定されるけれど、売りは青天井という、空売りへの戒めの言葉です。私としては、命はもちろん家も失いたくないから信用は売りも買いもやりません。信用に手を出さなければ、大暴落の影響もそれほど受けませんからね。ちなみに、リーマンショックのような大暴落の時も、優待銘柄の株価はあまり下がらなかったんです。だから私はすべての株を手離したことは一度もないんです。ノーポジション・ノーライフ(笑)。投資を始めてから20年、ずっと参加中です。
飲食系優待は、ランチで使うのがポリシーです
――「これは欠かせない!」というお気に入り優待は?
毎回話していることですが、やはり保有している優待銘柄は利回りの高い飲食系が多く、なかでも今のお気に入りはDDホールディングス[3073]です。優待でもらえるDDポイントはインターネットで使えるし、使うたびに有効期限が延びるのがありがたい。スマホで使えるから、忘れないのもいいですね。
――小森さん流・優待の使い方を教えてください。
飲食系の優待は、ランチで使うのが私のポリシーです。たくさん楽しむためにはランチのほうがお得だし、昼にたっぷり食べて夜は軽めにしたほうが体にいいともいわれています。夜はデパ地下に入っている柿安本店[2294]やロック・フィールド[2910]でお惣菜をテイクアウトして自宅で食べたりします。閉店間近に行けば割引になることもあって、節約になります。もともとはバリュー株が大好きな私。「割安」という言葉に弱いんです。
――2020年、優待に期待することはありますか??
以前から大好きな優待品といえば、シーボン[4926]のメイク落とし、小津産業[7487]でもらえる花柄の透かしが入ったティッシュ。最近、好きなのは焼津水産化学工業[2812]の、カタログで選べるオールインワン化粧品と泡洗顔。いつも使っているのがなくなってしまったので、何かあるかな、と家の在庫(もらった優待品)を探したら、ありました!使用感がとてもよくて、今一番のお気に入りです。
実現するといいなあ、と思うのは優待のアプリ化です。〝優待族〟は優待券などの荷物が多いんですよ。使いたい時に限って持っていないことも結構あるんです。そんな時にスマホに全部入っていれば、その時の気分でふらっと「今日はここに寄っていこう」ということができます。優待券が電子化されるとスマートに使えて便利だな、と思います。例えば「優待Pay」とか……。そうなれば、デートの時などにクーポン券を使うのが恥ずかしいと思う若者も、使いやすいのではないでしょうか。
使いたい時にササッと使える優待が普及して、個人投資家もますます増える、そんな2020年になるといいですね。
記事の内容は原則として、2019年11月15日までに公表された情報・データを基に作成しています。また、保有株数や保有期間により優待内容が異なる場合があります。最新の情報や詳細についてはご自身でご確認をお願いいたします