企業が発信するプレスリリースなどをもとに野村IR「知って得する株主優待」編集室で作成している「株主優待実施状況レポート」から、株主優待に関連する統計情報をお届けします。※2019年10月末日現在
株主優待実施銘柄の推移
株主優待実施銘柄は年々増え続けています。2009年、2010年に減少したものの、2011年以降は再び増加傾向を見せ、2019年10月末日現在は1,536件と過去最高を記録しました。全上場銘柄の37.2%に上り、個人投資家からの注目の高さがうかがえます。
新設銘柄に占める上場1年以内の銘柄数(年度別)
新設銘柄のうち上場1年以内の銘柄は2割前後であり、これまでの推移に大きな変化はありません。約8割は上場2年目以降の既上場銘柄です。
新設銘柄数と廃止銘柄数の推移(年度別)
2008年度から2009年度にかけては一時的に廃止銘柄の数が新設銘柄を上回りましたが、その後は一貫して新設銘柄が増える傾向にあります。廃止銘柄は毎年約30件あり、その理由として最も多いのは「上場廃止」。次いで「公平な利益還元」「業績悪化」というケースが多く見られます。
株主優待種類の内訳
食料品業種や小売業などに優待実施銘柄が多いため、優待品の種類としては食品が最も多いという結果が出ています。次いで多いのは金券・ギフト。自社製品を持たないBtoB企業では金券類を進呈するケースが多く見られます。
ご存じですか? 株主優待のルーツ
株主優待の起源については諸説ありますが、お歳暮やお中元と同じく感謝の気持ちを贈る習慣から来たと考えられています。
最も古い記録は東武鉄道[9001]の社史にあるとのこと。1899(明治32)年、300株以上保有の株主に全線無料パスを配布したのが最初といわれています。
その後、百貨店など小売業の実施を皮切りに株主優待実施企業は徐々に増え、1980年代のバブル景気を機とした投資ブームを背景に急増しました。その後も増加の一途をたどり、現在に至っています。
人気の高い優待品・サービス
『知って得する株主優待』(野村インベスター・リレーションズ発行)の読者アンケートによると、最も人気が高いのは「カタログギフト」。「好きな商品を選べる」「毎年優待品を変更できる」点が人気の理由です。次いで食品、金券、食事券と、実用的な品や身近で使いやすいものが上位を占めています。
長期保有優遇制度の導入件数(年度別)
長期保有優遇制度は、株式を保有する期間に応じて株主優待の内容がグレードアップするタイプです。株式を長く保有してもらいたいとの考えから、導入する銘柄が増えています。2019年10月末日現在、479件あり、そのうち長期限定は113銘柄あります。
社会貢献タイプの導入件数(年度別)
優待内容を選べる銘柄では、選択肢のひとつとして社会貢献タイプを導入する銘柄が増えています。2019年10月末日現在、導入銘柄数は174件になりました。
記事の内容は原則として、2019年10月末日までに公表された情報・データを基に作成しています。最新の情報や詳細についてはご自身でご確認をお願いいたします